日々のつれづれ

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【時事】学術界のハゲタカ?「ハゲタカジャーナル」が何か気になって調べてみた

今日もとても寒い1日でした。本日の日経ニュースに、研究不正についての記事がありました。これを読んでいると、「ハゲタカ誌」という聞きなれない言葉が出てきたのですね。

www.nikkei.com

日本の研究不正が世界的にも高い頻度で起こっているらしいことは、これまでも報道されてきました。その中で出てきたハゲタカ誌。”ハゲタカ”というと、大森南朋主演のNHKのドラマを思い出しますが‥「ハゲタカ誌ってなんだ?( ゜Д゜)」と思い、ざざっと調べてみました。(※まとめ記事ではなく、個人の備忘録的記事とお受け取りください)

ハゲタカジャーナルとは

ハゲタカ誌、より一般的には、ハゲタカジャーナル。これは何かというと、Predatory journalといって、研究者を餌食にする学術誌のことだそうです。Predatoryとは「人を食い物にする」の意。一般的に学術誌というと、査読つき論文、研究ノート(査読なし論文)などが載っているものですが、「ハゲタカジャーナル」というのは、査読付き論文を発行する体裁をとりながら、実は高額な掲載料さえだせば掲載されるというジャーナル(出版社)のようなんですね。

これは世界的に問題となっているもののようです。

Googleのサービスを使うと、2004年~の結果しか見えないのですが、着々と関心は高まってますね。

 

「査読」というと、アカデミック(学術界)の世界で同業者同士がその論文の信頼性や学術的意義を精査するプロセスのことで、研究者によるお墨付きのようなものです。アカデミックだけでなく、企業の開発や政策決定にも査読付き論文に書かれた調査結果や、査読付き論文を多く公開している研究者の発言って存在感があるものですよね。 

 

2010年代後半ころから、オープンアクセスの発展とハゲタカ出版社の隆盛との関係を書いている論考が公表されていたり、また、毎日新聞が「粗悪学術誌」(ハゲタカジャーナル)に関する一連の記事を出していたりして、その後、大学等による対応も報道されているようでした。

ハゲタカジャーナルがはびこってしまう背景には、楽に業績を稼ぎたいという研究者の需要があるということもありますし、さらには昨今の厳しい研究者間の生き残り競争や評価制度などがあるのでしょう。

どんなハゲタカジャーナルがあるの?

Predatory journalでぐぐって、検索結果の一番上にでてくるページを開くと、怪しいとされる学術誌リストがずらりと出てきました。

そこに掲載されている学会誌のHPをみるだけでは怪しいかどうかわかりません。こういうのは、実験結果の画像改ざんなどが騒がれていた、医療系とか生物系だけなんでしょ?と思ってみてますと、法学や政治学、工学などなど様々な分野が含まれているようです。

ががーん、政治を研究する人がこういうものに手出しちゃうの。いや、まともな査読プロセスがあるようにうまく見せかけて、引っかかってしまうパターンもあるのかもしれませんが。。

 国内でも、「ハゲタカジャーナル」と検索すると、この問題について調べてらっしゃる方の論考やブログがいくつも出てきました。

こういったブログを読んでいると、ハゲタカジャーナルのリストとして言及されているものに「ビオール氏のリスト(Beall’s List)」と呼ばれる有名なものがあるようです。その一方で、神戸大の先生が以下のようにも書かれていました。

しかし彼のリストには、後にインパクト・ファクター(IF)が付いた、しっかりと活動しているような(少なくともハゲタカ・ジャーナルとは言えない)出版社も含まれているので注意が必要です。

 ハゲタカ・ジャーナルを見分ける : 伊藤研究室☆研究日記

なので、なかなか確実なハゲタカジャーナルのリストというものは出てこないようですね。 ただ新聞社が依拠しているデータもあるようなので、有料では決定版がでてくるのかもしれません。

【感想】ハゲタカジャーナルの恐ろしさ

うーん、なんとももやもやとする話題です。ハゲタカジャーナルの恐ろしさは、まず研究者が自身の信頼性を地位を貶めることがあります。

 

しかし、下記にあるように、本人の不利益はもちろんのこと、アカデミック全体、ひいては私たちの生活全体に影響を及ぼすものなのだと思いました。

 質の保証されていない論文が出回るようになるため、査読論文や学術雑誌全体の信頼に悪影響を及ぼす

 https://www.lib.hokudai.ac.jp/support/predatory_journals/

 

研究成果も玉石混交、そのうちどれが信頼にたるものかわかりづらいってことは、医療メーカーだったり企業が製品開発をする際にも、そのよりどころとする基盤が揺らいでいるということですよね。

 

今年もフィッシング詐欺だとか、フェイクニュースだとかの話題が世間を驚かせましたが、アカデミックの世界で評価が高い研究者だと思っていても、フェイクな情報を提供する人にも出会いうるんだ‥と驚いてしまいました。研究者同士でも分野違いであったりして、素人目では、意見を求めてよい研究者なのか一目にはわかりませんよね。。

特に審査体制がしっかりしている(していてほしい)のは、大学が授与する学位なのかと思いますが、それに続いてはどこの大学で、または、誰のもとで取得したか?を気にします。ただ、著名な大学や研究室であっても、過去行った調査の不正が発覚して博士号取り消しがでたりもしてました。

 

怖いなと思ったのは、現代社会って高度に分業が発達してて、専門分野については「餅は餅屋」精神で、分野の専門家への信頼に基づいて動いてるところがあると思います。学術的な専門性は、信頼のための重要な基礎の一つであって、その部分に脆さがあることに恐ろしさを感じました。本日はハゲタカジャーナルの一面しか調べられませんでしたが、一生活者としても関心をはらっていきたいと思いました"(-""-)"